即戦力と言われる飲食業経験のある中途採用の社員よりも経験のない新卒社員を!

飲食店は人手不足が深刻で、
どこの飲食店も中途採用に
頼らざるを得ない状況です。

しかし、
「即戦力」という言葉に期待して
早期離職やトラブルを招いてしまう
飲食店を見受けます。

人がいないから採用ではなく、
中途採用社員の基準を設け、
採用することです。

今回の記事では、
中途採用社員でよくある失敗と
見抜く際のチェックポイントを
お伝えします。

飲食店が中途採用に頼ってしまう深刻な理由

飲食店が中途採用に頼って
しまう深刻な理由があります。
それは以下の3つの理由です。

慢性的な人手不足とシフト確保のプレッシャー

毎日の飲食店の営業には、
常に一定のスタッフ数が必要です。

特にランチタイムのような
ピーク時間帯はスタッフ数を
確実に揃える必要があります。

でなければ、
お客様に迷惑がかかってしまい
売り逃しになってしまいます。

だからこそ最初からある程度
仕事ができることが見込まれる
「即戦力」を欲しがるのです。

もっと言えば、
新卒や未経験者を育てる余裕
がないのです。

こうした背景から、
人物を見極めないまま採用に
してしまっているのが現状です。

教育をする余裕がない

飲食店の現場は
人件費を削減することと
人財教育の戦いです。

人件費を削減することに
目が行き過ぎればスタッフ教育
ができません。

かと言って、
スタッフ教育に力を入れ過ぎると
人件費が膨らみます。

また教育時には、
教育担当を付けるために、
人件費が倍かかります。
結果として、
教えなくてもできる人材
が優先となりがちです。

たいていのお店は
お店に寄ってルールや方針が
異なります。

その結果、
教育を省略すると逆にトラブル
が発生しやすくなるのです。

結果離職に繋がります。

育成にかけるコストを節約したい

新人を一から育成すれば、
時間もコストもかかります。

特に中小規模の飲食店では、
マニュアル作成や教育研修に
お金も時間もかけられません。

となれば、
目先の効率を重視して、
経験者を採用してしまうのです。

そのような採用の場合、
採用した社員がすぐに退職し、
反ってコストが膨らみます。

画像はイメージ(写真ACより)

即戦力(中途)採用後によくある落とし穴

即戦力社員と期待され採用した
にも関わらず採用後に問題となる
社員の特徴をお伝えします。

仕事はできるけど人間性に問題あり

即戦力として採用した人が、
技術的には優れていても、
人間性に難ありの場合があります。

  • あいさつや返事ができない
  • チームワークを乱す
  • 時間にルーズ
  • 他人の意見を聞かない
  • 基本的なマナーを守らない

のようなケースです。

飲食業はお客様との接点が多く、
チームワークが重要な業種です。

人間性の問題は、
店全体の雰囲気や業績にも
直結するため大切なポイントです。

あわせて読みたい記事
飲食店経営が売上拡大とともにチームワークを必要とする理由

私の経験上、30歳を超えると、
なかなか基本的なマナーの部分を
再教育して是正するのは難しいため
注意が必要です。

自分の実績を誇示しお店に合わせられない

以前の店舗で実績を残していると、
ついついその成功体験に固執し、
ストアルールに従わない人もいます。

「郷に入っては郷に従え」

の言葉通り協調性があることは
とても重要です。

「前の店ではこうだった」
「自分はこうやってきた」
という自分の価値観を押し付ける
タイプは大変です。

このような人材は、
お店というチームの雰囲気を悪くし、
最終的には周囲からの信頼を失って
孤立することになるでしょう。

我が強く既存スタッフと衝突しがち

前述に関連するパターンですが、
我が強い中途社員は既存スタッフと
摩擦を生む可能性が高いです。

経験があることを盾にして、
既存のやり方を否定するなど
お店に馴染もうとしません。

結果として、
店舗の人間関係が悪化してしまい、
本人だけではなく既存スタッフも
離職の可能性が高くなります。

自分の思い通りにならずすぐ退職

中途社員の中には、
自分の理想と現場の実態が違うと、
あっさり退職する人もいます。

即戦力として採用している故、
自分で結果が出せない環境だと
判断すれば本人のモチベーション
も下がります。

特に転職歴が多い人材ほど、
その傾向は顕著に見えます。

画像はイメージ(写真ACより)

こんな中途社員は採用してはダメ

中途社員採用時に
実際に気をつけたい人材について
ポイントをお伝えします。

自責ではなく他責

仕事上の課題に直面した時、
自分の責任を認めない人なら
採用は控えるべきです。

そのような人材は、
「周りが悪い」「環境が悪い」
と他責にする傾向があります。

どこの職場に行っても、
それは繰り返えされますので、
注意が必要です。

退職理由があいまい

前職の退職理由を質問した際に、

「なんとなく合わなかった」
「雰囲気が合わなかった」

というようなあいまいな答えが
返ってくる人がいます。

退職の理由に納得性がなければ、
同じ理由で再び辞めてしまう
可能性が高いと言えます。

この質問に対する答えは
かなり重要ですので、
しっかり聞き出してください。

やたらと自分の実績をアピールする

やたらと自分の実績をアピールする
人も中にはいます。

悪いことではありませんが、
そのような人材はお店に入った後、
スタッフと意見の食い違いで衝突
する可能性が高いです。

なぜなら、
自分の実績に自信を持っているため
自分の意見を譲らないからです。

即戦力採用のための見極めポイント

では中途社員を即戦力として
採用する際にチェックしたい
ポイントをお伝えします。

経歴ではなく人間性を見る

履歴書や職務経歴書だけでは、
その人の「本当の姿」は見えません。

飲食店においては、
技術以上に人間性が求められます。
チームワークで動くからです。

  • あいさつ
  • 受け答えの姿勢(返事)、
  • 気配り
  • 謙虚さ
  • 素直さ

といったポイントを注視して
面接をしましょう。

あわせて読みたい記事
面接する側として抑えておきたい注意点と具体的な質問内容

あなたの店を選んだ理由が納得できるか?

「なぜ当店を志望したのか」
に対する回答はとても大切です。

この質問の回答から、
応募者の熱意と適性を測ること
ができます。

給与や待遇面以外に、
その店の理念、接客方針、雰囲気
に共感したという答えがあると
即戦力として期待ができます。

退職理由、転職回数、在籍期間

応募者の過去の職歴を見る際は、
単に経験年数だけでなく、

  • 退職の理由
  • 転職の回数
  • 以前の職場での在籍期間

も重要です。
短期での離職が多いと
採用後の定着が難しいでしょう。

また退職理由が毎回

  • 人間関係
  • 職場の雰囲気
  • 上司と合わなかった

という類の理由なら、
同様の理由で辞める可能性が
高いと言えるでしょう。

面接後に前職の店を見てくる

前職の店舗を実際に見に行くことで、
応募者がどんな環境で働いていたか
を確認することができます。

店長をやっていたなら、
尚更その人の人柄がお店に
顔として現れます。

またGoogleなどの口コミなども
合わせて参考にすることで、
より正確な判断が可能になります。

仕事に対する価値観を聞き出す

「仕事をする上で
 大切にしていることは何ですか?」

という質問は応募者の価値観を知る
上で非常に有効な質問です。

例えば、

チームワークを大切にしたい」
「お客様の笑顔を見るのが嬉しい」

といった回答があれば、
飲食業との相性がよい可能性が高い
人財とも言えるでしょう。

逆に
「とにかく給与が良かった」
という答えの場合は要注意です。

画像はイメージ(写真ACより)

中途採用社員のチェックリスト

以上を踏まえてチェックリストを
作成しましたのでご活用ください。

チェック項目内容確認方法
志望動機の明確さ「なぜこの店なのか」が答えられるか面接時に深堀り質問
退職理由の納得感前職の退職理由が他責・曖昧でないか履歴書+ヒアリング
転職回数・在籍期間極端な短期離職や転職歴が多すぎないか職歴の一貫性確認
人間性・態度謙虚さ、聞く姿勢、礼儀面接時の観察
チーム適応力自分のやり方への固執がないか経験談の語り方に注意
価値観仕事で大切にしていることがチームに合うか「仕事観」を聞く
前職の情報確認前の店舗がどのような店かを把握実地訪問・口コミ検索

即戦力だと思わずに採用せよ

中途採用の社員は即戦力だと
思わずに採用することです。

つまり、
新入社員と同じように初期教育
をすることです。

具体的には
以下の3つが重要と考えます。

まずは理念教育をせよ

入社時にはあなたの会社の
経営理念や行動指針を必ず共有し、
空で言えるくらいにすることです。

つまり、
同じ方向を向いてもらうこと
が大切なのです。

もちろん、
あなたのお店のストアルール
しっかり伝えてください。

新規採用も即戦力採用も同じように育成

「経験者だから大丈夫」
と思って放置することが
一番問題です。

新入社員や未経験者と同じように
お店の育成カリキュラムに沿って、
教育をしましょう。

前職のやり方と違う部分があり、
説明やフォローをしないと、
誤解や衝突が生まれることは
明らかです。

そうならないためにも、
しっかり初期教育をしましょう。

特に「心の教育」や
考え方の教育である「思考習慣
がとても重要です。

定期的な面談の実施

これが一番ありがちですが、
即戦力だからと言って、
働き始めてから放置することです。

必ず定期的な面談を実施し、

  • 仕事の進捗や悩み
  • 既存スタッフとの関係
  • 対面している問題
  • 本人がやりたいけどできないこと

などを聞き出すことで、
早期のトラブル発見や離職防止
につながります。

特に働き始めて3か月間は、
頻度を高くしてコミュニケーション
を取るようにしましょう。

画像はイメージ(DALL-E 3で画像生成)

即戦力よりも新卒採用に力を入れよう

即戦力の中途社員を採用すれば
確かにすぐに戦力として
計算できるかもしれません。

個人的には
即戦力よりも新卒社員の採用
に力を入れてほしいと考えます。

もっと言えば、
飲食経験のある人材よりも、
経験のない人材です。

なぜなら、

  • 自分色に社員を染めやすい
  • 新入社員のため人件費が安い

この2つが大きな理由です。

だからこそ、
即戦力に依存する採用から脱却し、
新人をじっくりと育てる体制を
整えましょう。

採用した即戦力が
あなたのお店のカルチャーに合う
とは限りません。

もっと言えば、
あなたが積み上げてきたものを
壊してしまう人材もいます。
(経験者は語る)

仕事ができなくても
人間的に魅力を感じる人材を
採用しませんか?

そのためには、
どんな社員やスタッフを採用しても
ある程度のレベルまで育つ仕組み
持つことです。

その仕組みを持ちましょう。
もしないなら私にお任せください。

この記事を書いている人

稲垣 高史
稲垣 高史カフェコンサルタント
コーヒー好き、カフェ好きの趣味が高じてカフェコンサルタントを始めて7年になります。このブログを読んだカフェ関係者が「これやってみよう」と思えるような売上アップや教育法を発信しております。簡単な質問は無料で対応しております^^

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